やっぱり殺せばよかったのかな、って言ってたって。
こいつも友達から聞いた話。
友達がツレとテレビを見てたらしい、ニュース番組だ。
なんか子供を殺して捕まったってニュース、容疑者の顔が画面に映るとそのツレがあっと声を上げた。
『なんだ、知り合いかよ』そう尋ねると、『まぁ大分昔に会った事がある』と答えるツレ。
その友達が詳しく話を聞くと、話してくれた。
子供の頃、確か小学校高学年の頃、冬だった、夕方六時くらい、二つ年下の妹が犬の散歩から帰ってきた。
母親がお帰りと声をかけたが、妹は何も答えない、母親がどうしたの?と尋ねると急に凄い勢いで泣き出した。
母親が慌てて妹と二人ッキリで話をした、その後妹は落ち着いて、まぁ普通だった、と思う。
その後、母親に妹が何を話したのかを聞いた、妹が犬の散歩に行ったとき、近所のアパートの近くで、若い男に声をかけられた、『何かの調査をするから僕の部屋まで来て欲しい』、妹は怖くなって逃げ出した。
何の調査をするつもりだったかしらねーが、ろくな調査じゃないだろう。
次の日彼は学校で仲の良い友達にその事を話した。
その友達にも女姉妹がいて、似たような事があったらしいと言う。
小学校高学年、その若い男、大学生らしい、その大学生が何をしようとしてたのかは、大体分かる。
小学校高学年、性的な興味を覚え始める反面、それに対する子供特有の嫌悪感みたいなのもある年頃だ、今はどうだか知らないが小学校で性教育なんてまだ無かった頃(少なくとも俺も行ってた小学校は無かった、たまに女子だけ特別授業って全員別の教室で何か先生が教えてたので、その時は女子だけ怒られてるくらいに考えてたが、今考えると女子だけそいう授業を受けてたんだろう)、未知に対する恐怖も手伝って、そういった物が、自分の肉親に向けられたって事に対する事に、二人は怒りを覚えた。
二人は仲の良い友達で、妹や姉がいる友達に声をかけた。
6,7人集まったらしい、中に妹が同じ体験をしたってヤツもいたらしい。
彼らは結束した、少年探偵団なんて言葉が浮かんでくるが、心の中に渦巻いてるのは、嫌悪感、恐怖、怒り。
彼らは、まず大学生を見つけることにした。
アパートは知っていた、まずアパートの駐車場で遊びながらその大学生を確認する事からはじめたらしい、顔まで知ってるやつはいなかったから。
二、三日するとそのアパートに住んでる奴らで大学生は一人だったらしく、すぐに分かった。
それから彼らは見張りだした。
夕方位からたまに徒歩で出掛ける事がある事をしった。
一週間後、勇気だして尾行してみる事にした、全員だとバレるので、三人で。
大学生は近所の人通りが少ない道をアテも無くブラブラして一時間くらいでアパートに戻った。
彼らは相談した、どうにかしよう、どうやって?二三日して結論が出た。
彼らが大学生を調べて分かった事で、水曜日と木曜日には、夕方ぶらつく、だから水曜日に実行する事にした。
水曜日彼らはそれぞれ学校から帰ると、台所の奥の古い包丁や物置のバットや鎌を用意して、夏休みにお祭りで買ったお面も用意して、夕方集まり、そして待った、アパートの駐車場で。
大学生が住んでる部屋の扉が開くと、お面をつけて、それぞれの武器をもって準備した。
大学生が階段を降りてきて、駐車場の前を通りかかると、取り囲んだ。
大学生は驚きと恐怖で固まってしまったらしい、それは彼らも同じで、相当ビビっていた、本当は口を利くのも怖いので、手紙を書いてた。
手紙と言っても、ノートを破った紙にマジックで、今度変な事をしようとしたら殺す、とだけ書かれていたらしいが。
中の一人がそれを渡した、大学生はわけも分からず震える手でそれを受け取ったのを確認すると、一人が逃げ出した、それにつられて全員逃げ出した。
それから、みんなこれで大丈夫だろうと見張るのをやめた
しばらくして大学生は引っ越したらしい。
テレビの容疑者の顔がそいつとそっくりで、苗字だけは覚えてて多分同じヤツだ、とそのツレ。
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